医王ヶ丘病院さま|児童のメンタルケアに、薬に頼らないアプローチを
栄養療法が不登校や精神症状の改善に与える新たな可能性

はじめに
これまでの治療では解決が難しかった疾患や症状に対して、「オーソモレキュラー栄養療法」を新たなアプローチとして導入する医師が増えています。本記事では、実際に栄養療法を取り入れている医療現場の声をお届けします。
今回は、栄養療法を積極的に導入している「医王ヶ丘病院」の魚谷 千草先生に、株式会社MSSクリニック・サポート部の河嶋 健太がお話を伺いました。精神科・児童精神科で不登校や精神的な不調を抱える中高生を中心とした児童の患者さまに対し、栄養療法による薬に頼らない治療を行っている魚谷先生。令和6年能登半島地震の際にも、メンタルケアにおける栄養の大切さを実感されたそうです。詳しくは、ぜひ下記の本編をご覧ください。
1. 栄養療法は「副作用の心配がない」のが魅力
河嶋:栄養療法を貴院で取り入れたきっかけを教えていただけますか。
魚谷:たまたま本屋さんに行ったときに、溝口 徹 先生(みぞぐちクリニック)が「うつ」の代替療法としてオーソモレキュラー栄養療法を紹介している記事を見つけたんです。当時、中学生だった息子が重度の起立性調節障害で、薬物治療や漢方治療でも効果がなくて困っていたので取り入れてみたのです。そうしたら段々と調子が良くなってきたので、その頃勤めていた病院でも、薬を飲んでも、漢方をつかってみても、なかなか改善しない中高生の患者さんが多くいて、代替となる治療法、副作用の少ない方法を探していたので、栄養療法を取り入れました。難治の患者さん達も、皆さんどんどん軽快され、ご本人にも、親御さんにもとても喜んでいただけました。栄養によるアプローチなので副作用の心配も少ないので、診療には主に栄養療法で対応していましたね。こちらの医王ヶ丘病院に来てからも取り組んでいて、スタッフも自主的に勉強し始め、今では薬を処方する方は一割程度です。
2. 児童精神科における具体的な実践方法
河嶋:具体的には、どのように栄養療法を実践されていますか。
魚谷:児童精神科では、「学校に行けない」とか、いろいろなお悩みで患者さんがきます。
まずは体のなかで起こっていることの説明をします。具体的には、「私たちの体は栄養で出来ているんですよ。脳も同様なので、材料となる栄養を補給することが大切なんですよ」ということと、「血糖値のコントロールも大切ですよ」という説明をして、『ツライときは食事を変えよう』(溝口 徹 著、主婦の友社)というマンガをお貸しして、次の診察までに読んできてもらっています。
血液検査の結果が出るまでの間も、食事指導としてタンパク質をよく食べるようにしてもらい、甘いものなどの糖質や、パンや麺などの小麦を控えて、主食は米中心の食事に切り替えてもらっています。あとは精神科なので、やはりしっかりと眠っていただくことが重要になります。睡眠改善のために夜間のスマートフォンなどのブルーライト制限も指導しています。「夜の9時までにしましょうね」、と。
栄養素の提案も、初回からしています。ファーストステップとしては、まずは1カ月、食事の改善に加えて、血液検査に応じて不足している栄養素の摂取ですね。

3. 口コミで広がる栄養療法「もっと早く来ればよかった」
河嶋:患者さまの反応はいかがでしょうか。
魚谷:出かけるとすぐに疲れてしまい、家に帰ると寝てしまうという患者さんがニコニコお話しするようになったり、不登校や朝起きられなかった患者さんが学校に通えるようになったりしています。親御さんから見ても、表情が豊かになったなど、変化を感じる方が多くいらっしゃいますね。
他院ではなかなか改善しなかった患者さんがよくなることもあって、「もっと早く来ればよかった」とお話しいただくこともあります。他院からだけでなく、スクールカウンセラーの方だったり、ママ友の間での口コミでの紹介も多いですね。家族ぐるみで栄養療法に取り組むケースもあります。
4. 月1回の「オーソモレキュラーミーティング」がチーム力を高める
河嶋:スタッフのみなさまの協力体制や、どのように栄養療法への理解を深めていらっしゃるかについて、教えていただけますか。
魚谷:私が診察中に食事や栄養素の話をするので、当時の事務長をはじめ、自主的に勉強会に参加するスタッフが増えました。MSSさんに勉強会をしてもらうこともありますね。あとは、院内の健康診断を通じてスタッフ自身の栄養状態を把握し、不足している栄養素の摂取を勧めています。すると、会議中に寝てしまう人がいなくなったり、慢性痛が治まったとかで体感を得るスタッフが多くて、産業医として産業衛生も担っています。月に一度“オーソモレキュラーミーティング”をしていて、参加可能なスタッフが勉強会やオンラインセミナーで得た情報や症例を共有してくれたり、「こんなときはどうしたらいいか」とカンファレンスのような話し合いをしたりしています。こうした時間は単なる情報共有ではなく、患者さんへの説明や対応の擦り合わせもできる貴重な時間だと感じています。信頼できるスタッフとチームで栄養療法に取り組むことができていて、私自身が診療に専念できるようサポート体制を整えてくれています。

5. これからの医療は自然治癒力を活かした治療が求められる
河嶋:先生は今後、栄養療法はどのようになっていくとお考えでしょうか。
魚谷:薬物療法が主流のなかでも、やはり改善しない患者さんがいます。お薬を飲んでも、体内のバランスが整っていなかったりすると、栄養が薬の代謝に使われてしまったりして・・・何をやっているのかわからなくなってしまうこともあります。
その人がもつ自然治癒力の邪魔をしない、副作用の心配がない栄養療法は、特に成長期の患者さんにとって重要です。現代の生活で感じるストレスや環境の変化に対応するためにも、薬に頼らない自然治癒力を活用した治療がさらに求められると考えています。

【追記】 令和6年能登半島地震における栄養支援
魚谷:最後になってしまいましたが、この場をお借りして・・震災後、被災地の方にMSSさんから製品をご提供いただき、本当にありがとうございました。
震災当時、当院からもDPAT(災害派遣精神医療チーム)やDWAT(災害派遣福祉チーム)など、メンタルケアで能登などの現地に、医師やコメディカルスタッフを数回派遣しました。その際、DPATのメンバーに現地にMSSさんからいただいた製品を持って行ってもらいました。私自身はここに留まり、病院での診療を守っていたのですが、被害の大きい地域から来られる患者さんや、そうした地域にご家族がいる方・・・大変な状況のなかでも診察に来る患者さんがいて・・・みんな、金沢まで来院することはできないんじゃないかって思っていたんです。でも、道路状況も悪い、混乱の中、何とか当院までたどり着いた患者さんやそのご家族に、提供いただいた製品を「これ、うちの病院からじゃなくて、病院が扱っている製品の会社が送ってくれたんです、ぜひ使ってください」と言ってお渡ししたんです。すると、みなさんとても喜んでくれまして・・・本当に多くの方が勇気づけられました。何より私が勇気づけられました。本当に助かりました(涙)
今、この話をして、初めて涙が出てきました。ずっと気を張っていて、それどころじゃなかったんですね・・・今日のインタビューで御礼を言いたかったんです。ありがとうございました。

栄養療法の導入をご検討中の医師の方へ
薬物療法や漢方だけでなく、メンタルケアに栄養療法という新たなアプローチを加えてみませんか。
当社では、医療機関で栄養療法の導入を検討されている先生方に向けたサポートを、多数ご用意しております。臨床現場での導入事例や患者さまの変化など、より具体的な情報も共有しておりますので、ぜひお気軽にご相談ください。
無料相談・勉強会のご案内
MSSのプロフェッショナルが、栄養療法の導入・運営に関する無料相談を承ります。また、スタッフさま向けに無料勉強会を開催し、栄養療法についての知識向上や診療での実践に役立つ情報もお伝えします。無料相談・勉強会にご興味のある先生はこちらからお申し込みください。
無料登録のご案内
当社では、無料登録していただいた医療機関様、先生へ栄養療法導入をサポートする資料やセミナーを無料(一部セミナーは有料)でご提供しております。ご興味のある先生はこちらから無料でご登録いただけます。