みぞぐちクリニックさま|患者と共に歩み続ける「日本初」の栄養療法専門クリニック
「すべての医療従事者に栄養の知識をもってほしい」と願う、栄養療法のトップランナー

はじめに
これまでの治療では解決が難しかった疾患や不調に対して、「オーソモレキュラー栄養療法」を新たなアプローチとして導入する医師が増えています。本記事では、実際に栄養療法を取り入れている医療現場の声をお届けします。
今回は、日本初のオーソモレキュラー栄養療法専門クリニックとして知られる「みぞぐちクリニック」院長の溝口 徹 先生に、株式会社MSSクリニック・サポート部の河嶋 健太がお話を伺いました。栄養療法との奇跡的な出合いから、「栄養」の視点を診療に取り入れることで新たな道を切り開いてきた溝口先生の歩みと、栄養療法の未来についての声をご紹介します。詳しくは、ぜひ下記の本編をご覧ください。
1.栄養療法との出合いのきっかけは「家族の不調」
河嶋:溝口先生、よろしくお願いいたします。まず始めに、溝口先生が栄養の視点をご診療に取り入れられるようになった背景や、きっかけについて教えていただけますか。
溝口:私は大学病院での勤務を経て、痛みを専門に扱うペインクリニックを開業しました。当時はまだ“ペインクリニック”がなかったので、周りの整形外科とかからたくさんの患者さんが来ましたね。ですが、それまで行っていた、神経ブロックや投薬などといった治療法では納得感を得られない、改善しない患者さんが増えていったんです。もちろん、一定の効果はあるのだけど、どうも原因がはっきりしないんです。どうしてだろうと思って、勉強会に参加したり、漢方を試してみたり、いろいろやってみたのだけど、なかなかわからない。
加えて同じ時期に、2人目のこどもを産んだ妻の体調も悪くなってしまったんです。激しいめまいだけでなく、さまざまな不定愁訴のオンパレードのようになっていました。まだ1人目の子も幼稚園でしたし、家事も何もできず、とても辛い状態でした。それがあまりに切迫していたのも相まって、何か方法はないかと必死で探し回り、出合ったのが「オーソモレキュラー栄養療法」でした。藁にも縋る思いで適切な食事や栄養素の摂取を意識して行ってみたところ、少しずつ元気を取り戻していく“体感”があったんです。
この経験をきっかけに、なかなか痛みが取れず、改善しない患者さんの背景にも「栄養」という要素が関わっているのではないか? と考えるようになりました。その頃毎日200人以上の患者さんが来院していたのだけど、必要と思われる患者さんには血液検査をして、説明を行い、希望される方に栄養療法を追加していきました。
クリニックに来院する患者さんや妻についての対応について情報を探す中で、偶然が重なり、日本にこの考え方を紹介した医師に出会い、理解が深まったことも大きな契機でしたね。
2.「血液検査をしましょう」から始めた栄養療法の実践
河嶋:栄養療法を取り入れ始めたときの患者さまの反応はいかがでしたか。
溝口:当時はペインクリニックを標ぼうしていましたし、「痛い」というとレントゲンを撮って、神経ブロックをしたりという流れが常でしたので、「血液検査をしましょう」と提案すると「膝が痛いのにどうして血液検査なの?」という質問は当然ありました。
私としてはもう、痛みの背景を探るためには血液検査が必要であり、栄養の課題が潜んでいると感じましたので、そのことを一人ひとり丁寧に説明していきました。
血液検査の項目については、一部はクリニック側で費用を負担するなどして、栄養解析に必要な最小限の検査を行う形で運用を工夫しました。そうして栄養解析に役立つ指標を少しずつ取り入れるようにしていったのです。

3.「日本初の栄養療法専門クリニック」としてのさまざまな工夫
河嶋:その後、いよいよ2003年に、日本で初めてのオーソモレキュラー栄養療法専門クリニックをご開業されます(旧:新宿溝口クリニック)。
現在、名実ともに日本で一番の栄養療法専門クリニックになられたわけですが、完全自由診療のクリニックとして工夫されている点など教えていただけますでしょうか。
溝口:栄養療法専門クリニックを開業したわけなので、ペインクリニックのときとは違って、そういう治療方法を希望される方が来院するようになるのだけど、保険診療ではない自由診療(自費診療)となると、患者さんにとっては、やはり受診のハードルがあります。
なので、そうした心理的・経済的なハードルを下げるために、まず初めに「無料相談」を行うことにしたんです。それも、メールやLINEでご相談を受けるのではなく、30分~1時間、クリニックのスタッフがじっくりとその方のお悩みを伺い、当院の方針もできるだけ分かりやすく説明した上で、ご納得いただければ診察の予約に進むようにしました。
あとは、妊活などに取り組む方に向けては、無料セミナーを開催したりもしています。不妊治療に取り組んでいる方々は、すでにさまざまな苦労を経験したり、コストもかけていらっしゃいます。“そこにプラスして栄養療法も”となると、さらに心理的にも経済的にも負担が増えることになりますよね。なので、栄養療法を検討している方々に向けて、私からアプローチ方法を説明したり、良い経過を体感された患者さんに登場してもらい、経験を話してもらうようにしています。しっかりと納得した上で受診をしていただけるよう、工夫していますね。
河嶋:みぞぐちクリニックさまは、InstagramなどSNSでの情報発信もしていらっしゃいますね。
溝口:インスタライブは不定期ですが、配信していますね。お悩みごとにテーマを絞って配信すると、思いがけず幅広い方々が参加してくださいます。コメントに寄せられる質問にはできるだけその場で答えるようにして、リアルタイムならではの“ライブ感”を大切にしています。こうした取り組みがきっかけで、実際に受診につながったケースもありますよ。

4.栄養療法によって多剤服用から抜け出した患者さま
河嶋:これまで多くの患者さまと向き合ってこられましたが、特に印象に残っているケースはございますか。
溝口:本当にたくさんありますけど、その中でも印象に残っている方のお話を挙げるとすると……。
私の書籍でも紹介させてもらったり、テレビ番組のインタビューにも応えてくれた方なんですが、中学生の頃に受けたいじめがきっかけで眠れなくなってしまって、若くして多くの薬剤を処方されて飲んでいらっしゃいました。高校には入学したものの通えなくなってしまい、結局卒業できなかったそうです。
私のもとで受診されたのはその方が19歳くらいの頃だったと思いますが、来院当時も、大学病院の精神科からたくさんの薬が処方されていました。
親御さんと一緒に時間をかけて栄養療法に取り組みましたね。徐々に薬を減らしていくことができて、3年ほどで薬を飲まずに生活できるようになりました。その後は学業も再開され、無事に卒業。卒業証書をもってきて、見せてくれました。結婚、出産と人生の節目も迎えられ、ついこの間は、「子どもが生まれました」と言って連れてきてくれました。そのお子さんの成長に関する相談も続いたりなんかしてますね。
長期にわたって関わることができるのは、医師として大変光栄に感じています。お話を重ねるたびに「人生の節目に立ち会わせてもらっている」という実感があり、とてもうれしいですね。
5.スタッフ全員が高い熱量で患者さまをサポート
河嶋:患者さまとの信頼関係があってこそ、長い期間続くご関係かと思います。みぞぐちクリニックさまでは、先生とスタッフさまの役割分担はどのようにされていますか。
溝口:当院の強みは“スタッフ全員が前向きに取り組んでいること”だと思っています。スタッフ全員が、栄養療法によって患者さんが良くなっていることを知っているんです。だから、カウンセリングのときなどで、患者さんがつらいときに勇気づけることができる。そこが強いところかなと思いますね。
役割分担としては、まずはスタッフが患者さんの悩みをヒアリングしています。ヒアリングには業務用アプリをつかっていて、患者さんの95%も登録してくれているので、非常に効率的に対応できていますね。
食事や生活習慣、栄養素の摂取に関する案内もスタッフが担当しています。最終的な栄養素の選定は医師が決めていますね。医師は初診での病態把握、血液検査のオーダーと解釈、食事指導の原則や栄養素の種類、摂取量の案内に集中しています。
河嶋:栄養療法専門クリニックを立ち上げられた当初は、ご苦労もあったのではないでしょうか。
溝口:そうですね。2003年にこの栄養療法専門クリニックを開設しましたが、1997年に通常診療と並行して、自分の判断で栄養の視点を取り入れ始めた本当に当初は、そのときのスタッフに理解してもらい、協力体制を築くのが大変でした。良い変化を“体感”した方の口コミなどが広がっていったことで、徐々に理解と協力の輪が広がっていった感じです。

6.「栄養の知識」を、それぞれの専門領域で活かす未来へ
河嶋:最後に、溝口先生が考える「栄養療法の未来」について教えていただけますか。
溝口:栄養状態が適切に整うと、人は不思議なくらい自然に、前向きな方向へ進んでいく印象があります。それは、わたしたちの想像を超えてくることも少なくありません。すべての医療従事者がこの「栄養療法」や「栄養」についての知識をもっていれば、それだけでそれぞれの専門領域での治療の質や、患者さんのクオリティ・オブ・ライフの向上にもつながっていくと思います。その結果、社会全体が元気になり、医療費の面でも、明るい未来を描けると考えています。
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